イギリスのEU離脱によるサッカーとの関係とJリーグへの影響について
先日の、イギリスのEU離脱のニュースがまだまだ波紋を呼んでいます。
ワタシもこの場を借りて、自分なりの考えを伝えさせていただきました。
(「EUとは?イギリスの離脱と日本への影響について」をご参照ください。)
さて、イギリスと言えば「サッカー」。
で、このイギリスのEU離脱は、イギリスの、ひいては世界のサッカー界にどのような影響があるのか、考えてみました。
イギリスのEU離脱とサッカーってどんな関係があるの?
イギリスのEU離脱とサッカー。
それぞれ何の関係もないように思えます。
だって、政治・経済とスポーツですものね。
確かにそれぞれ単体で見るとまったく関係のないものには違いありません。
でも、イギリスのサッカー、特にプレミアリーグは世界的なリーグで、世界各地から著名な選手が集まる最強リーグということを考えると、関係がないとは言えなくなってくるのです。
イギリスのEU離脱がサッカーに与える影響はどんなものがあるの?
イギリスのEU離脱が、サッカー(プレミアリーグ)に与える影響は、主に次の3つが考えられます。
移籍金・契約金
イギリスのEU離脱の報道を受けて、すでにポンド安が始まっています。
今後、正式な離脱までにさらにポンド安が進む可能性もあり、場合によっては「暴落」する可能性すら秘めています。
そうなった場合、国外から選手を獲得するためにかかるコストが増大し、今までのように選手を獲れなくなることが考えられます。
一方、EU加盟国のクラブはプレミアリーグの優秀な選手を今までより安く購入できることになります。
プレミアリーグにとっては選手が流出する可能性が高まり、プレミアリーグが衰退してしまいます。
ただしそれは、最終的には、ヨーロッパのサッカー全体の衰退につながることになるでしょう。
就労ビザ
現在、EU国籍の選手は、プレミアリーグでは外国人選手とみなされず、就労ビザは必要ありません。
ただし、今後は、通常ならイギリスの就労ビザを取得する必要性が出てきます。
そのためには、原則として各国代表チームで定期的に出場していることが要件となります。
この場合、レギュラー選手なら問題ありませんが、代表歴はないけれども有望な若手選手とは契約できないことになってしまいます。
18歳以下の選手との契約
イギリスがEUから離脱すると、FIFA条項19条の未成年者の国際移籍(18歳未満の国際移籍の原則禁止)が適用されることとなり、18歳以下の選手と契約が結べなくなる可能性が出てきます。
FIFA条項19条では「選手の国際移籍は、選手が18歳以上の場合に限る」と定められています。
ただし、例外として、以下の3つのケースがあります。
- 選手の両親が移籍先のクラブの本拠地がある街に、サッカーとは関係ない理由で移住した場合
- 選手が国境から50km以内に居住している場合又は隣国のサッカー連盟が国境から50km以内に位置している場合
- 選手の年齢が16歳から18歳で移籍がEU圏内で発生する場合
今までイギリスは「EU圏内」として3つ目のケースに当てはまっていましたが、正式離脱後はこの例外条項が当てはまらなくなります。
イギリスのEU離脱はJリーグにとって影響はあるの?
イギリスがEUからの離脱の賛否を問う投票が行われる前からポンド安が進み、EU離脱を採択した後はさらにポンド安が進みました。
つられるようにユーロ安、その反対に円は値を上げました。
このことからだけでも、Jリーグに影響がないとは言えないでしょう。
毎シーズン、何人もの選手がJリーグからヨーロッパのリーグへ移籍していきますが、このまま相対的に円の価値が高止まりすると、Jリーグからの選手の移籍が少なくなってくるでしょう。
では反対に、ヨーロッパ、特にプレミアリーグからJリーグに選手が大勢移籍するようになるのかというと、ワタシは必ずしもそうならないのではと思っています。
ヨーロッパから見ると、日本は、ワタシたちが考えている以上に遠い存在なのです。
距離はモチロンですが、言葉や文化などすべて、ヨーロッパからは真逆にあるのです。
いくら大好きなサッカーをやりながら大金がもらえたとしても、「日本で暮らす」というハードルは、彼らにとってはとてつもなく高いモノなのではないかと思います。
そうすると、海外から相変わらずレベルの高い選手が入ってこないまま、日本の選手から見ると、よりレベルの高い海外でのフィールドで活躍する機会が減り、日本代表がワールドカップで戦えるレベルに達しなくなることも考えられます。
もし、ワールドカップ予選が突破できないということにでもなれば、子どもたちの間でのサッカー人気が下がり、優秀な選手が育たなくなるという、いわゆるサッカーの「負のスパイラル」に突入してしまうのです。
まとめ
イギリスのEU離脱がサッカーに与える影響としてお示しした3点は、あくまでも現行の諸制度のもとで想定されるものです。
今後、サッカーにおいて、イギリスとEUが、お互いの影響を最小限に食い止めるために、FIFAを中心として、何らかの方策をとってくることも充分考えられます。
このことは、サッカーだけでなく、イギリスとEUという国と国(組織)との間でも同様です。
今、まことしやかにささやかれている、イギリスの「準加盟国」化などが良い例でしょう。
いずれにせよ、イギリスが正式にEUを離脱するまでには、2年以上かかると言われています。
議会制民主主義とサッカーを広めた国に、あらためて注目ですね。
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