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イーグルバス 谷島社長の小江戸巡回バスとハブ&スポーク

   

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アナタはイーグルバスってご存じでしょうか?

埼玉県川越市に本社がある、中堅のバス会社です。

当初、観光バス事業だけでしたが、規制緩和の波に乗り、路線バス事業にも進出しました。

2代目社長の谷島賢(やじままさる)氏は、新進気鋭の社長として次から次へと革新的な事業展開を行い、衰退するバス事業の中で特に注目を浴びており、最近ではしばしばテレビなどにも登場しています。

今回は、この「イーグルバス」について採り上げます。

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イーグルバスと谷島社長

イーグルバス株式会社は、1980年に創業した中堅のバス会社です。

旅行会社イーグルトラベル(1950年~)を設立した先代が、旅行事業の販路拡大をめざし、貸切バス事業を行うため設立し、

現在の代表取締役社長である谷島賢(やじままさる)氏が2000年に事業を承継しています。

その後、小泉改革による規制緩和により、一般乗合事業(いわゆる路線バス)にも進出し、最近では、「カンブリア宮殿」や「がっちりマンデー」などにも採りあげられる、イノベーション企業として有名になっています。

衰退が叫ばれるバス事業において、数々の革新的な取組を行い、唯一、規模を拡大し、売上を伸ばしているのです。
(路線バス事業の衰退については「路線バスは廃止?その手続とデマンドタクシーについて」をご覧ください。)

イーグルバスの「小江戸巡回バス」とは?

イーグルバスが本社を構える川越市と言えば、今や、「小江戸」の名で親しまれ、雑誌やテレビにもたびたび採りあげられるなど、脚光を浴びています。

かつてはごく普通の一地方都市だったこの街を、現在のような人気観光地へと押し上げた立役者のひとりが、谷島社長なのです。

「小江戸巡回バス」を走らせたキッカケは?

谷島社長は、バブル崩壊後、衰退していた川越の街に、蔵の街を巡る団体貸切制の小江戸観光バスツアーを始め、大成功します。
この成功を機に、一般客向けの昭和レトロを思わせるボンネットバスによる「小江戸巡回バス」を走らせたのです。
このバスは、蔵の街とマッチして絵になるということで、メディアに大々的に採りあげられ、「あのバスに乗りたい」という人たちが大挙川越を訪れるようになり、現在でははるばる中国からも大勢の観光客が訪れています。

「小江戸巡回バス」は儲かっているの?

このバスは、行政の補助を受けておらず、イーグルバスが純粋な営業路線として運行していて、実は営業上はあまり芳しくありません。
しかし、川越のまちおこしに一役買いたいという谷島社長の思いから実現したもので、おそらく谷島社長も、広い意味での「広告宣伝費」として割り切っているのでしょう。

イーグルバスの「ハブ&スポーク」とは?

生粋のアイデアマンである谷島社長は、路線バスを核にした地域振興も模索していきます。

「ハブ&スポーク」の始まりは?

2006年に玉川村と都幾川村が合併して誕生したときがわ町では、当時の村営(町営)バスに対して住民が大きな不満を持っていました。
もともと、バスの本数が少なく、少なく不便だから乗らない、乗らないから本数をさらに減らすという、「負のスパイラル」が進行していたのです。
そこで、谷島氏は、それまで地域の端から端まで一本で走っていた複数のバス路線に対し、役場近くにハブ(拠点)停留所を置いて中心として、すべてのバスがここから自転車のスポークのごとく発着するように細切れの路線にルート変更したのです。
もちろん、ダイヤの調整により、ハブでの乗換をスムーズにできるようにしています。
これにより、たとえば、それまでA地点からB地点へ2時間に1本しか運行できなかったバスが、中間にハブができたことで、従来の半分の時間でA地点に戻ってくることができるようになり、1時間に1本運行することが可能になったのです。

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この「ハブ&スポーク」方式の運行によって、最初の1年で便数は1.5~3倍に増え、利用者は25%増加しました。

「ハブ&スポーク」の影の立役者は?

もちろん、ときがわ町のような過疎化が進む地域においては、いくら谷島社長が有能なビジネスマンだとしても営業路線単独で黒字化することは不可能でしょう。
ときがわ町は、町内のバス路線を維持するために、イーグルバスと協定を結びます。
事業による欠損分を町が負担するというものです。
これにはイーグルバスの都幾川営業所の維持管理に関するコストも含まれています。
そして、あまり報道されていませんが、ハブ&スポークは細かく路線を刻んで短い間隔で運行させることが可能になりますが、そのためにはバスの台数を増やさなければなりません。
もちろんそのためのコストは町が負担しています。
「ハブ&スポーク」導入前のときがわ町では、「空バスが走っている」という批判が絶えなかったそうです。
コストは増加しても、「町民の足を便利にして、もっと乗ってもらう」という町長の強い意気込みがなければ実現しなかったと、ワタシは思っています。

今後の「ハブ&スポーク」の展開は?

こうした「ハブ&スポーク」機能をより発展させて、施設機能までも持たせようとするのが東秩父村での取組です。
東秩父村は、埼玉県内唯一の「村」で、人口減少が急速に進んでいます。
現在約3,000人の人口で高齢化率は30%超に達しているなど、課題のひとつが村民の「足」です。
イーグルバスは、隣接する小川町駅から東秩父村の「白石車庫」という、ハイキングの拠点となるバス停まで路線バスを運行しています。
一方、東秩父村は、寄居町駅から東秩父村の「和紙の里」という拠点施設まで村営バスを運行しています。
東秩父村では、法律に定められた計画等に基づき、この村営バスをイーグルバスに事業譲渡し、村内のバス運営をすべてイーグルバスに委ねる計画です。
イーグルバスでは、この「和紙の里」を「ハブ&スポーク」にして、しかもこの和紙の里にコンビニやカフェなどの機能を持たせて、ハイキングなどの拠点施設にしようとしています。
東秩父村の細川紙は、世界遺産に登録されたこともあり、一躍有名になりました。
こうした観光事業とのコラボレーションによって東秩父村のバス路線がどこまで再生できるか、谷島社長の手腕に期待したいですね。

その他の取組は?

谷島社長が実施しているシステムとして「ハブ&スポーク」とともに重要なのが「ダイヤ最適化システム」です。

これは簡単に言うと、バスの乗降口に赤外線センサーとGPSを取り付けて「どの停留所で何時に何人が乗降するか」といったデータを収集し、利用率の悪い時間帯などを抽出して、時刻表やルートを頻繁に変えることで不採算路線を採算路線に変えていくというものです。

こうした取組の中で登場したのが「おでかけサポート便」で、西武バスから事業譲渡を受けた日高・飯能路線において、終点の先に1.2kmの延長区間を設け、乗客に希望者がいる場合に限り乗り入れるようにしたもので、終点から先は、料金加算もありません。
終点の先にある、坂の上の団地の住民からは大好評です。

まとめ

普通なら、人口減少に伴い、衰退産業と考えがちな路線バス事業。
そんなバス事業でも、やり方によっては、さらに拡大・発展できることを示した谷島社長の営業手腕は卓越しています。

今でも、イーグルバスには全国各地から視察に来る企業や自治体があり、谷島社長も講演などで大忙しです。

しかし、ハブ&スポークひとつとってみても、谷島社長ひとりの力ではなしえなかった部分がたくさんあります。

一方で、谷島社長が必死で取り組んでいたからこそ、そうしたサポートが自然とできたきたとも言えます。

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ワタシは埼玉県にイーグルバスのようなすばらしい会社があることを誇りに思います。


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