刑事訴訟法239条2項って?公務員には犯罪を告発する義務があります
2017/02/12
ご存知ですか?刑事訴訟法にこんな規定があることを!
2 官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。
簡単に言うと、公務員は、犯罪だと思ったときは告発しなければならないんです。
でも、実際にはそんなことしていないんじゃないでしょうか。
というか、むしろ公務員が犯罪を犯して報道されたり…。
ちょっと考察してみます。
刑事訴訟法239条2項ってどういう規定?
刑事訴訟法239条1項には、
「何人でも犯罪があると思料するときは、告発をすることができる」
と書かれていて、続く2項には、
「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」
と規定されています。
まず、1項にある「告発」と、ニュースなどで良く耳にする「告訴」の違いについて説明しておきます。
いずれも捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示である点は基本的に同じです。
告訴は犯罪の被害者その他の告訴権者しかできませんが、告発は誰でもできる点が違います。
続く2項には「官吏」と「公吏」という、普段聞き慣れないコトバが出てきます。
簡単に言うと、「官吏」とは国家公務員を、「公吏」とは地方公務員を指します。
ここでいう「官吏」や「公吏」には、国立大学の職員など、いわゆる準公務員は該当しないものとされています。
最後に「その職務を行うことにより」ですが、必ずしもその犯罪事実の発見そのものが職務内容である必要はなく、「職務の執行に際し」と広く解するのが通説となっています。
したがって、公務員が通勤途上等、私人と同じ立場で発見した犯罪事実については、2項の告発義務の対象とはなりません。
公務員は犯罪に気づいたら告発する義務がある?
では、公務員が職務執行に際し犯罪事実を発見した場合は、必ず告発しなければならないものなのでしょうか。
239条2項の規定を訓示規定とする説もありますが、これを義務規定と解釈するのが通説です。
この通説においても、告発するか否かについて職務上正当と考えられる程度の裁量までは許されるというのが一般的です。
あっ、ムズカシイ言い方になっちゃいましたね。
つまり、犯罪があることを発見しても、すべてに対して告発するのではなく、重大なもの以外は公務員が裁量で判断できる、ということになります。
公務員の判断とは、ひとりの公務員の判断だけではなく、組織として上司の判断を仰ぐ必要もあると思います。
ここで問題となるのが、職務上正当か否かの判断です。
この点については、
ものと解されています(地方行政実務の法律相談上巻(ぎょうせい)93~95p)。
まとめ
今回は、法律と公務員について気になる規定を解説しました。
ムズカシかったですね。
法律って、一見難しそうに見えるのですが、実はワタシたちの生活に深く関わってくることも多いんです。
ちなみにワタシは法学部出身で、専攻は刑事訴訟法と少年法…。
(今の仕事にはまったく活かされてません。)
これからも法律を身近に感じてもらえるような解説をしていきますね。
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