確定申告~コレって医療費控除の対象?対象外?解説します!
2018/01/19
1年間の治療などでかかった医療費が、1世帯につき10万円を超した場合は医療費控除として申告することができます。
そこで医療費控除として認められれば、実費で支払った医療費のうち、一定額が税金から還付されるのです。
でも、すべての治療でかかる医療費が、控除の対象となるわけではなく、そこが悩ましいトコロですよね。
解説します。
確定申告の「医療費控除」とは?
前年度の1月から12月までの1年間にかかった医療費が1世帯につき10万円を超した場合は、医療費控除として翌年度の確定申告時に申請して認められれば、実費で支払った医療費のうち、一定額が税金から還付されるのです。
この制度を「医療費控除」と呼んでいます。
世帯全体の年収により、申請出来る金額が変わって来るので、医療費控除を行う際は、年末調整も一緒に行っておく必要があります。
ちなみに2018年(平成30年)の確定申告期間は、
2月16日(金)~3月15日(木)
です。
この期間内に、2017年1年間分の会計結果を税務署へ報告(確定申告)することになっていますので、医療費控除もこの期間内に申請します。
医療費控除の対象になるものは?
で、肝心の医療費控除の対象になるものについてですが、堅苦しい話を先にします。
法令の規定
医療費の範囲は所得税法施行令第207条において、
「医療費の範囲に規定する政令で定める対価は、次に掲げるものの対価のうち、その病状その他財務省令で定める状況に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とする」
とあります。
その「次に掲げるもの」として、
- 医師又は歯科医師による診療又は治療
- 治療又は療養に必要な医薬品の購入
- 病院、診療所又は助産所へ収容されるための人的役務の提供
などが例示的に挙げられています。
医療費控除の対象になるかどうかの判断基準
所得税法とその関係法令には医療費控除に該当するものすべてが書かれているわけではないので、その都度「これは医療費控除になりますか? なりませんか?」という疑問が持ちあがることになります。
でも、上の例示規定からすると、医療費控除の対象となるのは、
であると考えられます。
例えば、
- 医師の判断で必要とされる場合の、あん摩マッサージや指圧、はり・きゅうなどによる治療
- 医師や歯科医の診察により、必要とされる治療や、医療器具の購入代
- 妊娠出産で必要とされる定期検診や検査・治療、出産にかかる入院費用
- 6ヶ月以上寝たきりで治療を受けていて、おむつが必要と診断された場合のおむつ代
などは医療費控除の対象となる医療費になります。
これらは「医師の診断のもとで必要とされた治療」に対しての医療費であり、反対に、審美面からの歯科矯正や予防接種などはこの場合の医療費には含まれないのです。
医療費控除の対象外になるものは?
医療費控除の対象になるモノよりも、医療費控除の対象とならないモノを理解しておいた方がより分かりやすいと思います。
次のものは医療費控除の対象となるでしょうか?
(1)バンドエイド
(2)冷えピタ
(3)ガーゼ
(4)包帯
(5)インフルエンザの予防接種
(6)母乳相談料金
(7)子どものフッ素塗料
(8)コンタクトレンズ購入時の眼科の検診代
このうち、(1)~(4)は医薬品ですので治療のために必要であったのであれば、医療費控除の対象になります。
(5)~(7)は治療ではなく予防や相談ですから認められません。
(8)については近視用のコンタクトレンズであれば認められませんが、眼病の治療用コンタクトレンズであれば認められます。
もし近所に薬局が無くて、電車で買いに行ったのであれば交通費も医療費控除の対象になります。
クルマで行ったのであれば駐車場代は対象になりますが、ガソリン代は対象外です。
「医薬品」ならすべて対象なの?
「医薬品」ならすべて対象になるわけではありません。
例えば、「救心」は動悸や息切れの治癒のためなので医療費控除の対象ですが、「養命酒」は疲労回復のためなので、たとえ医薬品でも医療費控除の対象とはなりません。
また、お父さん方に利用者の多い「リアップ」も医薬品ですが、育毛治療は、健康保険などの適用を受けることができない自由診療に分類されているため認められません。
いわゆる人間ドックその他の健康診断のための費用及び容姿を美化し、又は容ぼうを変えるなどのための費用は、医療費に該当しないことに留意する。ただし、健康診断により重大な疾病が発見され、かつ、当該診断に引き続きその疾病の治療をした場合には、当該健康診断のための費用も医療費に該当するものとする。
となっていますから、一般的には育毛治療の費用を医療費控除の対象とすることはできないハズです。
ちなみにタレントのBAさんが脱税で摘発されたのは、植毛の費用を医療費控除していたことがその理由のようです。
まとめ
医学においては、日々新しい医薬品や治療法が確立され、また、福祉の充実などの政策も踏まえ、医療費控除の対象も徐々に拡大傾向にあります。
例えば近年の税制改正では、血縁者間以外から骨髄移植を受けた患者が(公財)骨髄移植財団に支払う負担金や、視力回復レーザー手術(レーシック手術)の費用などが新たに医療費控除の対象として認められました。
ただし、人のやることですから、税務署やまた職員によって判断の異なる場合もないとは言えないようです。
詳しくは最寄の税務署にご相談くださいね。
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