埼スタはどうしてあそこにできたの?「埼玉スタジアム駅」はできるの?
2017/08/27
「埼スタって、駅から遠いよなぁ。」
行ったことのある方ならどなたもそう思うハズ。
もっと近くに駅をつくればいいのに…。
そもそも、何であそこにできたのかしら?
そんな疑問にお答えします!
埼スタはどうしてできたの?
埼スタ建設の経緯については、まず大宮公園サッカー場(現NACK5スタジアム)についてお話ししなければなりません。
大宮公園サッカー場は、1960年4月、当時の大宮市に日本初のサッカー専用球技場として建設されました。
その後、東京オリンピックや埼玉国体を経て大がかりな改修が行われたものの、おもな改修は観客席と照明設備が中心で、1990年代に入ると、施設の老朽化が顕著となりました。
そこで、大宮公園野球場の新築移転予定地だった大宮第二公園南側の用地に大宮公園サッカー場の新築移転案が持ち上がりました。
一方、ほぼ時を同じくして、サッカーFIFAワールドカップの日本開催が現実味を帯びてきていました(開催決定は1996年)。
しかし、日本にはFIFAが定める基準のひとつである、4万人以上が収容できるスタジアムは、数えるほどしかありませんでした。
そこで、大宮公園サッカー場を4万人以上収容できるサッカー専用スタジアムに改修して、ワールドカップ開催地として立候補しようという話が持ち上がったと思われます。
その話はやがて埼玉スタジアムの建設へと移っていきます。
当初、日本は単独開催を視野に大会開催の準備を進めていましたので、1993年1月に最初の国内開催都市候補地を選定します。
埼玉県をはじめとする候補の15か所のうち、スタジアムが完成していたのは1994年アジア競技大会のために整備されていた広島ビッグアーチだけ、小幅な改修で対応可能だったのは大阪市の長居スタジアムだけで、あとは各自治体がスタジアムを新設する予定でした。
埼スタはなぜあそこにできたの?
やはりあの大宮公園サッカー場周辺の敷地では、40,000人以上収容できる超大型のスタジアムの建設は現実的ではありませんでした。
かといって、土地に余裕のある埼玉県の北部地域周辺では、都内からのアクセスに時間がかかり、できれば「決勝戦は埼玉で」開催させて欲しいと思っていた埼玉県としてはアクセスの面で選考から漏れてしまいます。
当時の埼玉県知事である故土屋義彦氏は春日部市を地盤としていましたので、県庁職員は春日部市近辺で候補地探しに奔走します。
旧浦和市と旧岩槻市の境に、ほぼ手つかずの広大な土地があり、最終的にそこに決定します。
それが、今も開発が進む「みそのウイングシティ」です。
みそのウイングシティは、さいたま市緑区と岩槻区にまたがる浦和美園駅周辺の土地区画整理事業エリアで、県・市・都市再生機構によって事業が進められています。
この土地区画整理事業は、旧浦和市と旧岩槻市の地域整備構想が始まりで、1999年(平成11年)に都市計画決定がなされました。
その後、2000年(平成12年)の事業認可を経て今に至ります。
区画整理以前には、地区東側の綾瀬川沿いの低地は田畑が広がり、地区西側の台地には畑が多く民家や農家が点在していました。
でもなぜ、これだけ都市開発が進む中、通勤圏である浦和・岩槻周辺にそれだけ広大な土地が残っていたのか、と誰でも疑問に思いますよね。
そうです、誰も手を付けられないほど開発には適さない土地だったのです。
あの周辺はもともと沼地で、水分を非常に多く含んだ土地なのです。
かつては誰も手を付けられないような土地でも、土木技術の進歩により、何とかなってしまうようになったのです。
ただし、今も水分を多く含んだ「柔らかい」土地であることに変わりはありません。
「埼玉スタジアム駅」はできるの?
埼スタへ行かれた方なら誰でも思いますよね、「駅から遠いなぁ」って。
公式ホームページで「徒歩15分」となっていますが、実質は20分くらいある感じがします。
現にグーグルマップでは徒歩19分と表示されます。
駅から徒歩5分の味スタに慣れたウチの子は「オレは2度と埼スタへは行かない!」と言い切る始末…。
「埼玉スタジアム駅」はいつできるのか!という声をよく耳にします。
現実に、浦和美園駅が終点の埼玉高速鉄道(地下鉄7号線)が、埼玉スタジアムのそばを通り、岩槻駅まで延伸される計画案については、国土交通省の交通政策審議会でも採りあげられています。
ただし、この延伸計画案は埼玉スタジアムがあの場所に建設される前からあった話で、その延伸案の付近に後からスタジアムが建設されただけの話です。
でも、もともと延伸が想定されているなら、なぜ浦和美園駅で地下鉄をわざわざ地上に出して、車両区まで設けているのでしょうか。
普通に考えるなら、浦和美園駅をつくる(計画する)時点で、それ以上の延伸は考えていなかったということでしょう。
延伸が予定されているなら、わざわざ地上に出す必要はないのです。
つまり、埼玉県としては、長野県が長野オリンピックのために建設したエムウェーブなどの建設費の償還についてのネガティブな情報が世間に流れている中では、県民や県議会の理解を得られる限度がスタジアムの建設費「365億円」との判断だったのではないでしょうか?
それに加えて鉄道整備となると、すべて県が負担するわけではないにしても一体いくらになるのか…。
また、岩槻駅方面に鉄道を延伸する場合、ちょうどスタジアムの下を通るような導線になる可能性が高くなりますが、技術的には、もともと沼地であるあの場所の地下に鉄道を通すことはかなりの困難事業になることは間違いありません。
そのため、高架にして、道路の上を通るような計画案まで出されています。
それはそれで、いったいいくらかかるのでしょうね。
ワタシは「埼玉スタジアム駅」はできないと考えています。
それは過去の歴史からも推測できます。
1924年(大正13年)に蓮田~岩槻間で開業した武州鉄道が、1928年(昭和3年)には岩槻より南下して神根(川口市)で開業していますが、同鉄道は経営悪化により1938年(昭和13年)に廃止されています。
その後、同鉄道の廃線跡の一部を利用して開通したのが、国道122号線なのです。
ちなみに、武州鉄道で埼スタに一番近い駅は「武州野田駅」です。
今と昔では状況が違いますが、一度廃線になった路線が復活するのは一筋縄ではいかないでしょう。
【参考】廃線探索 武州鉄道(蓮田-神根)(歩鉄の達人)
【URL】http://www.hotetu.net/haisen/Kanto/081001busyutetudou.html
※ 埼玉スタジアムについては、以下の記事でもご紹介しています。
- 埼玉スタジアムへのアクセスは?帰りはどうする?お答えします
- 埼玉スタジアムへ車で行きたい!駐車場はどこにあるの?予約はできる?
- 埼玉スタジアムへのアクセス~シャトルバスを徹底解説します!
- 埼玉スタジアムでの観戦 ホテルはどうする?周辺のおすすめをご紹介
- 埼玉スタジアムへのアクセス~バスがダメならタクシーで!
- 埼スタはどうしてあそこにできたの?「埼玉スタジアム駅」はできるの? ← 今読まれている記事はココです。
参考にしてくださいね。
まとめ
サッカー専用スタジアムとして、日本最大級の規模を誇る埼玉スタジアム。
浦和レッズのホームゲームだけではなく、最近ではワールドカップの予選など、国際Aマッチも多く開催されています。
アンチレッズのワタシでも、埼玉スタジアムの素晴らしさは認めないわけにはいきません。
2020年に開催される東京オリンピックで、埼玉スタジアムが試合会場になることが決定しています。
当面は、それに向けた各種の整備を行い、有力視されている、大宮駅~さいたま新都心駅からのBRT(バス・ラピッド・トランジット)の導入を行うべきだと思っています。
連結バスなどを利用すれば既存の路線バスに比べて大量の人員を輸送できるため、試合開催に合わせてこれらのシャトルバスを運行すればいいのではないでしょうか。
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