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アナタの地域は大丈夫? 「土砂災害防止法」について

      2018/01/30

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今回は「土砂災害防止法」についてです。

ううっ、何かムズカシそう…。

2014年に起きた広島市の土砂災害、憶えていらっしゃると思います。

そう、住んでいる場所や地域よっては、ワタシたちの生活にものすごく重要なことなのです。

できるだけわかりやすく解説します!

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土砂災害防止法って?

1 土砂災害防止法の目的

土砂災害防止法は、土砂災害から住民の命を守るため、土砂災害のおそれのある区域を指定して危険の周知・警戒避難体制の整備を行い、また、著しい土砂災害が発生すると予想される区域においては住宅等の新規立地の抑制、既存住宅の移転の促進などのソフト対策を推進しようとするものです。

なお、正式名称「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」と言います。

さらに舌を噛みそうですね(笑)

2 法制定及び法改正の経緯

以前から、土砂災害のおそれがある地域に対しては、建築基準法により建築制限等を伴う危険区域の指定制度がありました。

しかし、地域の特性を考慮した制限等を全国一律の法律に定めることは難しく、必要最小限の規制となっていました。

のちに、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(急傾斜地法)が制定され、急傾斜地崩壊危険区域に指定されれば、同時に災害危険区域に指定されることになりましたが、この指定制度は土砂災害を引き起こすおそれがある斜面側での崩壊防止工事(ハード対策)を目的としたもので、土砂災害を受ける宅地側の指定が考慮されていないという問題がありました。

こうしたなか、1999年(平成11年)6月の豪雨により広島市安佐南区などを中心とした地域で土砂災害が多発し、数十名以上が死亡するという参事が起きてしまったのです。

安佐南区周辺は、市内の中心部にもほど近く、また、アストラムラインの運行開始などにより通勤や通学に便利になったことから、近年人口増加が著しい地域となっていました。

この地域はもともとは山に囲まれ平地が少ないため、宅地開発を行う場合は、山裾から山麓の斜面に向かって開発を進めざるを得ず、住宅のすぐ裏に崖や斜面が存在する場所が散見されていました。

この災害では、こうした山沿いの新興住宅地において多数の土石流が同時多発的に発生し、被害が拡大しました。

これを契機として法整備が検討され、翌2000年(平成12年)5月に土砂災害防止法が成立したのです。

しかし、制定から10年が経過した2011年時点で基礎調査が完了したのは1件のみで、多くの都道府県では調査に20年程度がかかると見込まれていました。

調査が進まない主な理由としては、次の3点が挙げられました。

  • 住民への説明に時間を要すること
  • 予算確保が難しいこと
  • 委託調査の調整に時間がかかること

法律には、指定の際には住民の同意を要するとは規定されていませんが、実際には説明会を開くなどして住民への説明を行う自治体が多く、反対する住民の理解を得るまでに時間を要するという事情があったのです。

指定により不動産価値や地価が低下することも考えられるので、市町村としては地域住民に意を尽くすということでしょうね。

危険だと思っても、自分の不動産の価値が下がるということを、住民としてすんなりとは受け止められないのもわかりますよね。

そして2014年8月、法制定のきっかけとなった災害が発生したのと同じ広島市安佐南区などを中心とした地域で再び土砂災害が多発し、70名以上が死亡するという大参事が起きてしまったのです。

ワタシも南安佐区に友人がいて、テレビを見て気が気ではなかったのを憶えています。

この大参事をキッカケに同年11月に本法律が改正され、基礎調査後早期の段階で公表を行うことなどが定められました。

また、気象庁と都道府県が共同で発表している土砂災害警戒情報を市町村長と住民に周知することを義務付け、市町村防災会議において警戒区域ごとに避難経路と避難場所、土砂災害警戒情報の伝達方法を定めることとされたのです。

土砂災害の種類と指定基準はどうなっている?

1 土砂災害の種類

土砂災害には、

  • 急傾斜地の崩壊 ⇒ 傾斜度が30度以上である土地が崩壊する自然現象
  • 土石流 ⇒ 山腹が崩壊して土石等又は渓流の石等が水と一体となって流下する自然現象
  • 地滑り ⇒ 土地の一部が地下水等に起因して滑る自然現象又はこれに伴って移動する自然現象

の3種類があります。

ちなみに埼玉県内の土砂災害警戒区域等の指定状況は埼玉県のホームページ
https://www.pref.saitama.lg.jp/a1007/dosyasitei.html
を参照してください。

2 土砂災害警戒区域の指定

まず基礎調査を実施し、その結果土砂災害のおそれのある区域を土砂災害警戒区域に指定します。

土砂災害警戒区域にはその程度により次のとおり分けられます。

区域の区分

土砂災害警戒区域

急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、住民等の生命又は身体に危害が生じるおそれがあると認められる区域(通称:イエローゾーン)

土砂災害特別警戒区域

急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、建築物に損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる区域(通称:レッドゾーン)

区域指定の基準

土砂災害警戒区域の指定基準
  • 斜面の傾斜度が30度以上で高さが5m以上の区域
  • 急傾斜地の上端から水平距離が10m以内の区域
  • 急傾斜地の下端から急傾斜地の高さの2倍(50mを超える場合には50mが上限)以内の区域
土砂災害特別警戒区域の指定基準

急傾斜の崩壊に伴う土石等の移動等により建築物に作用する力の大きさが、通常の建築物が土石等の移動に対して住民の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれのある崩壊を生ずることなく耐えることのできる力を上回る区域。(簡単に言うと、「建築物に危害が生じ、住民に著しい危害が生じる恐れがある区域」)


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危険個所はいつ土砂災害警戒区域に指定されるの?

現在危険個所になっている箇所がすべて指定されるというわけではありません。

ちなみに埼玉県では、平成28年末までに危険個所を調査し、その後必要な個所を法指定する予定であると発表しています。

ただし約5年ごとに見直し調査を行うため、現在指定されていない場所でも将来指定される可能性はあることになります。

また、土砂災害警戒区域に指定されている場合、建築ができるのかどうか気になりますよね。

「土砂災害警戒区域」(イエローゾーン)の場合は特段の制限はありません。

「土砂災害特別警戒区域」(レッドゾーン)の場合は建築許可が必要になり、建物の構造等も強固なものにしなければならないとされています。

また、特定の開発行為を行う場合も知事の許可が必要となります。

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まとめ

ちょっと難しかったですね。

土砂災害防止法と急傾斜地法との違いは、簡単に言うと、

  • 土砂災害防止法 → 住民の生命を守る法律(ソフト面:避難勧告など)
  • 急傾斜地法 → 住民の生命や財産を守る法律(ハード面:対策工事など)
となります。

アナタのお住まいの地域はいかがでしょうか?

ちょっとでも不安に感じたらすぐにお住まいの市町村窓口に問い合わせてくださいね。


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