フィギュアスケートのジャンプ 種類と違いは?見分け方は?
2017/12/17
「羽生クンって、なんであんなにジャンプが上手なのかしら?」
スケートをやらない人だって、男女問わず羽生選手のカッコ良さには魅かれてしまいますよね。
でもスゴイのはわかるんだけど、そもそもサルコウとかアクセルとか、一体何なの?何が違うの?
現在、フリースタイル1級取得を目指し、猛練習中のワタシが解説します!
スケートをテレビで見るのが楽しみになりますよ。
フィギュアスケートのジャンプ 種類はいくつあるの?
基礎的な用語など
これから説明していきますが、その前に大前提として基礎的な用語について理解しておきましょう。
まず、前方に滑ることを「フォア」、後方に滑ることを「バック」と言います。
次に、靴の下についている鉄の部分を「ブレード」、ブレードの左右の角を「エッジ」、ブレードの先のギザギザの部分を「トゥ(ピック)」と言います。
そして、自分のカラダの外側のエッジを「アウト(サイド)エッジ」、カラダの内側のエッジを「イン(サイド)エッジ」と言い、滑走中は、ほぼ、どちらか片方のエッジを使います。
例えば、右足のインエッジを使って後方に滑る場合は「右バックインで滑る」と言います。
ジャンプ、ステップ、ターンなど、それぞれの技のことを「エレメンツ」と言います。
ここまでは憶えておいてくださいね。
ジャンプの種類
他にもいくつかあるのですが、ISU(国際スケート連盟)の規定でプログラム中でジャンプとして認められるのは、次の6種類になります。
- アクセル
唯一フォアで踏み切るジャンプです。 - ルッツ
回転する方向とは逆側のアウトエッジで踏み切るため、難易度の高いジャンプです。 - フリップ
ルッツとは踏み切りの際のエッジが異なるだけなのですが、助走がルッツより短かくなります。 - ループ
両足を閉じて助走し、跳ぶ直前に一瞬沈み込むように見えるジャンプです。 - サルコウ
踏み切り直前に両足をハの字に開くのが特徴ですが、羽生選手はあまり開きません。 - トゥループ
もっとも簡単とされているジャンプです。
それぞれ名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。
フィギュアスケートのジャンプ どう違うの?
6つのジャンプはそれぞれ同じ回転数の場合でも、難易度が大きく異なります。
難易度順に言うと、一般的には、
アクセル>ルッツ>フリップ>ループ>サルコウ>トゥループ
となりますが、得手不得手は選手によるところが大きいと言えます。
これらのジャンプの違いは、その始まりである踏み切りにあり、着地はどれも同じになります。
回転方向は、右足で着地する選手の場合は、左回りになります。
そして回転数は、1回からはじまり、現在は4回が最高回転数で、それぞれ、
- 1回転=シングル
- 2回転=ダブル
- 3回転=トリプル
- 4回転=クアッド
となりますが、クアッドだけは日本語でそのまま「4回転」と言われます。
この回転数とジャンプの種類を合わせて、「ダブルアクセル」とか「トリプルサルコウ」などと呼ばれています。
これらのジャンプを、それぞれショートプログラムとフリーに採り入れて演技を構成していきます。
ショートプログラムとフリーの違いについては、
「フィギュアスケート ショートプログラムとフリーの違いについて」
をご覧ください。
フィギュアスケートのジャンプ 見分け方は?
種類と違い、そして呼び名は理解できても、テレビ観戦でどうやって見分けたらいいのでしょうか。
難しいことは抜きにして、簡単な見分け方をお伝えします。
一般的な、左回りに跳ぶ選手を仮定して説明していきますね。
アクセル
唯一、フォアで踏み切るジャンプですので見分けやすいと思います。
右足を振り子のようにして前に出すと同時に左足フォアアウトで踏み切ります。
フォアでジャンプして、バックで着地するので、他のジャンプより0.5回転多くなります。
つまり、トリプルアクセルは3.5回転になります。
ルッツ
左バックアウトで滑り、右トゥをついて左足で跳び上ります。
助走が比較的長くなります。
踏み切る直前のカラダは右回りの軌道を描きますが、右トゥを突いて飛び上ってからは左回りをしますので、体軸軌道がS字になり難易度が増しますが、その分美しいジャンプです。
右トゥを着く前に左バックアウトから左バックインに移ってしまうとロングエッジ(Wrong Edge)として減点になってしまいます。
浅田真央選手が、小さいころのクセが治らず、この動作で時折減点になっているようです。
フリップ
左バックインで滑り、右トゥを突いて跳び上がります。
ルッツとは踏み切りの際のエッジが異なるだけなのですが、助走がルッツより短かくなります。
宇野昌磨選手が4回転フリップを決めていますね。
ループ
右バックアウトで滑り、深く乗って体重をかけて踏み切ります。
同じ右足で着氷しますが、着氷の際、左足が右足に絡みつくようになります。
両足を閉じ気味にして助走して、跳ぶ直前に一瞬沈み込むように見えるのが特徴です。
羽生選手が4回転ループにチャレンジしていますが、右足だけを使う4回転ジャンプなので、左足に不安のある今の羽生選手にとっては、強力な武器になるハズです。
サルコウ
左バックインでそのまま踏み切ります。
踏み切り直前に両足をハの字に開くのが特徴ですが、羽生選手はあまり開きません。
女子では世界で初めて安藤美姫選手が公式戦で4回転サルコウを飛びました。
トゥループ
もっとも簡単とされているジャンプです(ワタシは跳べません…)。
右バックアウトに乗り、左トゥを突いて跳びます。
右足で着氷しますが、着氷の際、ループ同様、左足が右足に絡みつくように見えます。
男子では4回転が必須のエレメンツになっています。
各ジャンプをスローモーションで紹介している動画が YouTube にありましたので参考にしてください。
サルコウ>トゥループ>ループ>フリップ>ルッツ>アクセル
の順番で紹介しているのですが、最後のアクセルだけ、なぜか男性が跳んでいます。
一覧にすると、次のようになります。
ジャンプの種類 | 滑走(助走) | 踏 切 | 着 氷 |
アクセル | 左フォアアウト | 左フォアアウト | 右バックアウト |
ルッツ | 左バックアウト | 右トゥ | 右バックアウト |
フリップ | 左バックイン | 右トゥ | 右バックアウト |
ループ | 右バックアウト | 右バックアウト | 右バックアウト |
サルコウ | 左バックイン | 左バックイン | 右バックアウト |
トゥループ | 右バックアウト | 左トゥ | 右バックアウト |
6つのジャンプについて、それぞれコマ送り写真で詳細に解説してあるコチラの本もおすすめです。
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モデルは2004年の四大陸選手権で優勝した太田由希奈さん、監修は樋口豊さんという豪華な顔ぶれで、ジャッジの採点基準まで書かれた至れり尽くせりの本です。
実はワタシ、太田由希奈さんにスケートを教えてもらったコトがあるんですよ、フフフ…。
まとめ
ちなみに、アクセル、ルッツ、サルコウはそれぞれ初めてその技を決めた選手の名前からきていて、
- アクセルジャンプは、ノルウェーのアクセル・パウルゼン(Axel Paulsen)
- ルッツジャンプは、オーストリアのアロイス・ルッツ(Alios Lutz)
- サルコウジャンプは、スウェーデンのウルリッヒ・サルコウ(Urlich Salchow)
がその由来です。
そのうち「ハニュウ」なんていうジャンプができるかも知れませんね!
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