徒然なるママの365日

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大阪都構想ってどんなもの?東京都とはどう違うの?なぜ失敗したの?

   


2015年5月18日、大阪市を消滅させて大阪「都」の設置の是非を問う住民投票が行われ、反対が賛成を上回り、大阪都構想は廃案となりました。

結果は僅差でしたが、橋下徹氏はこれを機に政治家としての引退を表明しましたよね。

東京出身のワタシには、大阪都構想の必要性も、そしてなぜ橋本氏が引退を覚悟してまで取り組む必要があったものなのか、サッパリ分かりませんでした。

関西の友人も、「アンタらにはわからんやろ…」という始末。

クヤシイので(笑)、調べてみました!

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「大阪都構想」ってどんなものなの?

そもそも、なぜ「大阪都構想」なるものが必要とされ、住民投票により決するまでのものであるのか、ワタシのように関東~東日本出身で、関西で生活したことのない人間にはまるでわかりませんでした。

「アンタらにはわからんやろ…」と言ったワタシの友人曰く、「大阪には『南北問題』があるんや。」とのこと。

大阪の「南北問題」っていったい何なのでしょうか。

大阪の「南北問題」って?

「南北問題」と言うより「南北格差」という言葉に置き換えた方が分かりやすいかも知れません。

大阪には、よく言われる「キタ」と「ミナミ」がありますよね。

厳密なエリアの定義はありませんが、一般的に「キタ」は大阪市北部の繁華街やオフィス街~大阪駅、北新地などを中心とした地域を指します。

一方、大阪市南部の「ミナミ」は、歓楽街である難波、心斎橋、新世界などの小規模の商業が集積するエリアを指しています。

「キタ」とは?

「キタ」は江戸時代から、いわばビジネスと金融の中心地でした。

米取引において、世界初の商品先物取引が大阪北区で行われるなど、全国の米相場を掌握していたのです。

そして現在は、梅田周辺には新宿の超高層ビルと見間違うほどの街並みが形成され、超近代的都市の風貌を呈しています。

「ミナミ」とは?

「ミナミ」は、江戸時代には、革職人や家内制手工業の技術職人が集まる一大地域となり、人口は、当時10万人を超えていたとも言われています。

現在の浪速区や西成区になるそのエリアは、今も当時の雰囲気を色濃く残しています。

年代によってはご存じないかも知れませんが、「じゃりん子チエ」は「ミナミ」の様子をもっともよく表すテレビアニメだと思います。

大阪都構想の必要性は?

以上のとおり、大阪は、江戸時代から南北が、主に職業をもとに分離されていて、現在もその姿を色濃く残していると言えるのです。

これは簡単に言えば、南北の所得格差ということに繋がります。

その格差をなくそうとしたのが、大阪都構想です。

広域行政を大阪府に一元化し、住民に身近なサービスを特別区が担う役割分担や、特別区間の歳入格差を是正する大阪都構想は、東京都と特別区の「都区制度」をモデルに考えられています。

「都区制度」の中で、おそらく橋本氏がもっとも導入したかったのが「都区財政調整制度」です。

財政調整制度は、特別区間の歳入格差是正を目的として、東京都が特別区域内の法人住民税や固定資産税などを徴収して財政調整の財源とし、各特別区に交付金を支給するものです。

大阪市のエリアを特別区に分けて、それぞれ権限を持たせつつ、財源を調整しながら、まんべんなく「大阪都」を発展させていく~簡単に言えばこんな考えだったのではないかと思います。

大阪都構想は東京都とどう違うの?

では、大阪都構想は、東京都とどう違うのでしょうか。

「東京都」はどうなっているの?

東京都は、消防、上下水道などの広域的な事務を行い、23区では、より身近な住民サービスである児童手当や生活保護の支給、小中学校の設置管理などを行っています。

人や企業がより密集した大都市~23区の特殊性を考慮しているためとされています。

一方で、同じ東京都でも、武蔵野市などの「市」は、生活保護の支給などはモチロンのこと、消防や上下水道の事務も市(又は一部事務組合)で行っています。

東京都との違いは?

東京では、都が児童相談所の設置権限や小中学校の教員の人事権、パスポートの交付事務を担いますが、大阪都構想では特別区が担うことになっていました。

児童虐待対策強化が叫ばれる中、東京では児童相談所の設置権限を区に移管するよう求める声が根強いのを踏まえたものと言えるでしょう。

また、特別区間の歳入格差是正を目的とした都区財政調整制度では、東京都が特別区域内の法人住民税や固定資産税などを徴収して財政調整の財源とし、各特別区に交付金を支給しています。

この際、都が広域行政を行っていることを踏まえ、財源の45%が都の取り分になりますが、大阪都構想では、府(都)の取り分は約23%と試算されていました。

大阪都構想の概要を一覧にしてみると次のようになります。

主体 分担事務 主な財源
大阪府(都) 大学、病院、消防など 法人住民税、固定資産税
大阪特別区 児童相談所、パスポート交付、教員人事など 個人区民税、軽自動車税
一部事務組合 健康保険組合、介護保険など 参加自治体からの負担金

これにより実施される大阪版財政調整制度に基づくと、南北間の格差は是正前の2.8倍から1.2倍に縮小されると試算されていました。


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「大阪都構想」ははぜ失敗したの?

投票結果は反対票が賛成票を上回ったということであって、「失敗」という言葉は適切ではないかもしれません。

多数の賛成を得られなかったのは、財政規模(平成24年度一般会計決算ベース)だけをみても、23区が約2兆1,000億円であるのに比べ、大阪市は約8,400億円と、約3倍近い開きがあり、財政調整制度を導入しても少ない財源の奪い合いになるだけで、大阪特別区はサービスが維持できなくなる懸念があるからだ、とも言われました。

でもワタシは、本当の理由はもっと単純なのではないかと思っています。

住民投票の結果は、投票総数でみると、賛成と反対の差はわずか1万票足らずです。

ところが、地域別にみると、次のようにハッキリと地域差があるのが分かるのです。

青色は賛成票が多数の行政区、赤色は反対票が多数の行政区を表しています。

大阪都構想は、もともと「ミナミ」は「キタ」と比べて地域格差が広がってしまっているので、その差を埋めるべく、大阪市を廃止して、現在の市と府の二重行政を解消して合理化を図り、地域格差を解消しようとするものでしたよね。

それなのに、自分たちの格差を解消してくれるハズの「大阪都構想」に、「ミナミ」の人たちが反対している…。

詳しい理由は分かりませんが、ワタシは、おそらく、あまりにも急激な改革案に、ミナミの人たちがついていけなかったのではないかと思います。

改革の中身より、時間的にあまりに急ぎ過ぎた…そんな気がします。

昔ながらの技術職人が多く集まるエリアでは、やはり保守的な考え方が根強いのではないでしょうか。

急にすべてが変わったら、もしかしたら今より悪くなってしまうかも…。

それなら、『今のままでいいや』となるかも知れません。

一方で、リベラルな「キタ」の人たちは、何か新しいことが起きそうな期待と、そんな変化を楽しむ余裕が、賛成票に結びついたとも考えられます。

「ミナミ」でも、日本一高いビルとして有名なった「あべのハルカス」がある浪速区は徐々に街の姿を変えつつありますし、実際に浪速区では賛成票が反対票を上回る結果となっているのは注目すべき点です。

「ミナミ」にもうひとつランドマーク的な建物などが建設され、時間が醸成されれば、大阪都構想は理解を得られるような気がします。

でも、その時に、橋本氏のような熱いハートを持った政治家が現れるかどうか…。

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まとめ

「大阪都構想」は結果的に実現しませんでしたが、ワタシのような関東地方出身の人間にも、大阪の根本的な問題に眼を向けさせることができた、という点では決して失敗ではなかったのではないでしょうか。

ワタシもこれから大阪へ訪問する際は、ちょっと違った目線で街を見てみようと思います。

がんばれ、オオサカ!


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