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路線バスは廃止?その手続とデマンドタクシーについて

      2016/05/24

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今回はちょっとマジメに、衰退が叫ばれる「路線バス」について考えてみました(あっ、いつもマジメですよ…)。

海外では公共交通は公営である場合が多いのですが、日本のバス事業は、基本的に事業者の運賃収益で成り立っています。

高度経済成長期においては、それは事業者にとっても都合の良いものでした。
しかし、自家用車の普及が進むとともに経済も低成長期に入り、路線バス事業は、横ばいもしくは減少傾向が続いています。
近年、少子化による利用者減がさらに追い打ちをかけています。

路線バスの採算ラインは「平均乗車密度」(路線の始点から終点までの間にバスに乗っている人数の平均と考えてください。)が15人以上とされていますが、このレベルを維持している路線は、都市部のドル箱路線を除き、そう多くはありません。

したがって、バス事業者は、都市部の路線や空港連絡バスなど一部の採算路線で収益を稼ぎ、それで他の不採算路線の赤字を埋めるという内部補填によって路線網を維持してきました。

この構造は、平成14年の小泉改革の一環として行われたバス事業の規制緩和によって大きく変わりました。

バス事業への新規参入が自由化され、競争が激化し、各社とも採算性が悪化してしまったのです。

また、不採算路線からの退出も原則自由化されたことから、各地で路線の廃止が相次いでいます。
少子化や高齢化による利用者減が続くと、事業者は収益悪化を防ぐために、まずは便数減を図り、コストを削減して路線を維持しようとします。

でも利用者は、バスが不便になるので、さらに利用しなくなっていきます。
そして、事業者はさらに便数を減らし…これを「負のスパイラル」と言います。

このことは埼玉県のような都市化が進んだ地域でも例外ではありません。

路線バス 廃止にならないためには?

路線バスが廃止にならないためには、次の2点が考えられます。

1 企業努力による路線維持

採算ラインを割り込んだ路線について、まず事業者は自らの合理化策によって経費を削減します。
広く行われるのが「子会社への移管」です。
バス事業の経費の大半を占めるのは運転手の人件費です。
路線バスはワンマン化されているため、路線やダイヤを維持したまま人員削減することはできません。
したがって、運転手の給料を下げることになりますが、基本給をいきなり下げることはできません。
そこで、本社より基本給の安い子会社に事業を移管して、全体の経費を下げるのです。

埼玉県においては、大手の東武バスは、不採算路線を朝日自動車などの子会社に事業を移管しました。
西武バスも、秩父地域においては「西武観光バス」という子会社が運行しています。

2 公的補助路線への転換

このような企業努力にもかかわらず減収の一途をたどる場合もあります。
その場合、国や自治体から補助を受けて路線を存続しようと考えることになります。
また、過疎地域においては、路線バスが生活を支える重要な存在であることから、一般的な補助体系に上乗せされる形で補助制度が自治体によって設けられていることがあります。

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路線バスを廃止するための手続きは?

公的補助があっても採算が維持できない場合、バス事業者は最終的に路線の廃止を決断せざるを得なくなります。
規制緩和後の道路運送法では、系統の廃止届出をしてから一定期間が経てば、地元自治体の同意がなくても廃止が可能です。

地元自治体の同意がなくても系統廃止が可能となった以上、バス事業者が退出を申し出た場合、その路線は廃止されます。
また、不採算により廃止された路線には、いくら自由化されたといっても、他の事業者が新たに参入することはまずあり得ません。

道路運送法

(事業計画の変更)
第15条の2 路線定期運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業者は、路線(路線定期運行に係るものに限る。)の休止又は廃止に係る事業計画の変更をしようとするときは、その6月前(旅客の利便を阻害しないと認められる国土交通省令で定める場合にあつては、その30日前)までに、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。

デマンドタクシーは路線バスの代わりになる?

デマンドタクシー」が新たな交通手段として注目されています。

これは、簡単に言うと、一種の「乗り合いタクシー」のようなものです。

近年、全国的に増えつつあり、自治体がタクシー会社に事業を委託して運営を行っているところが多いです。

車両は一般のタクシーですが、バスのように停留所から乗り降りを行、場合によってはドアツードアが可能な地域もあります。

通常のタクシーと違うのは、事前に登録を行った登録車が事前に予約をして利用するというところです。

運賃も1回の利用が200円~500円程度と良心的な金額となっており、タクシーとバスの良いところを組み合わせた公共の乗り物となっています。

しかし、運行は一般のタクシー事業者が行っていますので、通常の運賃との差額は、委託した自治体が負っています。

つまり、コストの負担は最終的に住民自らが追うことになるのです。

デマンドタクシーは、路線バスの維持が困難になったときの最後の手段であるべきです。

路線バスがまだ廃止まで至っていない場合、今ある路線バスを維持・確保することがもっとも重要です。

まとめ

これからは、単に、市町村、都道府県、国、バス事業者など、個別の取組だけに焦点を当てていたらバス事業は衰退の一途をたどるでしょう。

関係者すべてが、路線バスの維持・確保に知恵を出し合い、汗をかかなければなりません。

そして、その中でもっとも重要な役割を担っているのはワタシたち「地域住民」です。

本来、地域公共交通を最も必要とするのは地域住民なのですから、その運営も地域住民が中心となって支えていくことが基本となるはずです。

地域公共交通を自分たちで考え、維持していくことが必要です。

自分たちが利用しなくなったことが廃止の最大の原因となっているいう事実を忘れてはいけません。

「地域の路線バスは自らが責任を持って維持・確保していかなければならない」という自覚があれば、本当に路線バスが必要か、バスでないとダメなのか、なぜ廃止が問題となったのかを考え直し、反省することができるはずです。

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みんなで地域公共交通の主役である路線バスの維持・確保をしていきましょう!


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