サッカーW杯はなぜイングランド代表なの?イギリス代表じゃないの?
サッカーワールドカップは毎回大盛り上がりしますよね。
日本代表にも頑張ってもらいたいものです。
でも、ちょっと不思議に思うことがあります。
各国の代表チームが競うなか、なぜイギリスだけは「イングランド代表」なのでしょうか。
イングランドとは?
イギリスとは?
イングランドに触れる前に、まず「イギリス」という国について確認しておきましょう。
イギリスの正式名称は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」と言い、
- イングランド
- ウェールズ
- スコットランド
- 北アイルランド
という4つのカントリー(非独立国)から成っています。
これらの4つのカントリーはそれぞれ独自に言語や国旗を持っていて、またスコットランド、北アイルランドでは独自の紙幣も発行され、それらが利用されています。
もちろんスコットランドや北アイルランドでも通常のイギリス紙幣の利用は可能です。
では、位置関係などをちょっと見てみます。
1.イングランド
【首都】ロンドン
【人口】約5,300万人(2011年)
【国旗】
2.ウェールズ
【首都】カーディフ
【人口】約300万人(2011年)
【国旗】
3.スコットランド
【首都】エディンバラ
【人口】約5,250万人(2012年)
【国旗】
4.北アイルランド
【首都】ベルファスト
【人口】人口:約1,8000万人(2011年)
なぜ「イギリス代表」じゃないの?
イギリスが、4地域の連合国だということはわかりましたが、なぜ、サッカーワールドカップ等の国際大会においては、「イギリス代表」ではなく「イングランド代表」なのでしょうか。
先ほどお伝えしたとおり、イギリスは、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドという4つのカントリー(非独立国)から成り立っています。
つまり、元々は別の国だったというのが理由のひとつですが、一番大きな理由は、
FIFAの設立以前に各カントリーにサッカー協会が存在していたから
だと言われています。
通常、サッカー協会は各国に1つ設立されていますが、イギリスは4つの国が一緒になった連合王国のため、それぞれの国にサッカー協会がありました。
また、イギリス各カントリーのサッカー協会は、FIFAが設立される前から存在していて、イングランドのサッカー協会は、1863年に創立された世界最古のサッカー協会です。
ちなみに、イングランド協会の正式な名称は「The Football Association」と言い、国名がつかないのです。
こんな協会はイングランドだけですが、イングランド協会が発足したときは他国(スコットランドなど)にはサッカー協会がなく、国名を付ける必要がなかったということのようです。
サッカーの国際的普及・発展を進めたかったFIFAとしては、当時、圧倒的な強さを誇っていたイギリスの各カントリーに、ぜひとも加入してもらいたかったのが大きな理由です。
当初、加入に難色を示していたイギリス各カントリーのサッカー協会に対して、
- サッカー協会がFIFA設立前から存在していること
- 1つのサッカー協会を設立することが困難(つまり仲が悪い)
- サッカーの母国に対するリスペクト
などを理由として、4つのカントリーのサッカー協会がそれぞれ個別にFIFAへ加入することで、決着したのです。
他の地域はどうなの?
なお、他国や他地域でも同じようなことがあります。
中国も、
- 中国
- 台湾
- 香港
- マカオ
の4つの代表がFIFAに加入しています。
コチラの事情はイギリスとは違うのは明らかですね。
他のスポーツ大会はどうなの?
オリンピック
オリンピックでは1つの国につき1代表しか認められておらず、イギリス全体で一つのオリンピック委員会を設立し、IOCに加入しているため、1つの国として参加しています。
ラグビー
ラグビーにおけるイギリスの代表チームは、
- イングランド代表
- スコットランド代表
- ウェールズ代表
- アイルランド代表
の4つに分かれます。
サッカーとは違い、「北」アイルランド代表ではないのです。
でも、アイルランド共和国代表というわけではなく、北アイルランドとアイルランド共和国を合わせた2ヵ国からなる、「アイルランド島代表」ということになります。
ちなみに、ラグビーにおいても、イングランド協会は「Rugby Football Union」と言い、唯一国名がつきません。
これもやはり協会発足時には、他国にラグビー協会がなかったということなのでしょう。
国際大会での戦績はどうなの?
4つの出場枠があるイギリスですが、各カントリーのワールドカップをはじめとするサッカーの国際大会での戦績はどうなっているのでしょうか?
イングランド代表
- W杯出場:15回(優勝:1966年)
- EURO出場:9回(3位:1968年)
スコットランド代表
- W杯出場:8回
- EURO出場:2回
ウェールズ代表
- W杯出場:1回(ベスト8:1958年)
- EURO出場:1回(ベスト4:2016年)
北アイルランド代表
- W杯出場:3回(ベスト8:1958年)
- EURO出場:1回(ベスト16:2016年)
まとめ
歴史はどうあれ、4つの出場枠があるイギリス。
でも、激戦のヨーロッパで、いずれのカントリーからもすべてワールドカップに出場しているのはスゴイことですね。
ちょっと違った視点から見ると、さらにワールドカップが楽しめるかもしれませんよ。
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